Yesのライブ参戦レポート

感じた想いをそのままに参戦したライブをレポートしていきます。

LIQUIDROOM 2nd ANNIVERSARY liquid surprise 02 at Ebisu Liquidroom

僕が大ファンのアーチストであり、もっともライブを見てみたかった2組の女性アーチスト達が、まさかまさかのジョイントライブを行うなんて本当に夢のようなこのライブイベントに勇み足サミーばりに足を運んできました。

その昔、某野村監督が現役時代に当時のスター王貞治と比較して自らを評した「俺は(夜に咲く)月見草だ」という名言があまりにも有名ですが、小谷美紗子SALYUという、奏でる音もルックス/キャラクターも全くの好対照的な陰と陽というこの2人の組合せが意外に思えましたが、僕や当日一緒に行くはずだった友人O(所要でキャンセル)のように、小谷とSalyu双方の激ファンという人間がいる事を考えれば、さほど不思議ではないのかも。。この日のライブがどれほど感慨深く、どれほど感動したのかは2アーチストしか登場していないのに、このレポートが異常なまでの長文になっている事からも容易に察する事が出来ると思います。それではこの『奇跡』のライブレポートを早速開始します。。

火曜の夕方というのもあり、チケットを取ったにしろ当日にならないといけるかどうかわからなかったために、もう心配と緊張で前日から食事が喉を通らない程でしたが、偶然がいくつも重なったおかげで無事見に行ける事に。仕事も早目に切り上げ、開演時間の30分前にリキッドルームに到着。もう既にかなりの人数が集まっている模様。普段は私服で出社なのが、この日はたまたまレアなスーツ姿。周りを見渡してもスーツ姿の観客など誰一人としておらず、どう見ても学生という人々がほとんどでちょっとした疎外感を感じる・・・まあ普通に考えても社会人が午後6時台に仕事を終えて駆け付けられる訳ないですしね。そういやあ学生時代にライブ会場でスーツ姿のリーマンを見かけた際に、「会社帰りにスーツ姿でライブハウスに来るなんてかなりのベテランだね」と意味不明な感想を抱いていたけれど、まさか自分がそうなるとは。もはやベテランの域か(何のベテランかはわかりませんがw)。ただ開演間近になると案の定、ちらほらとスーツマンが増え始めたけれどそれでも10人にも満たなかったと思われます。そういやあ一人っきりでライブハウスに来たのも初めてだった。ひとりでライブ、スーツでライブと何もかも初物尽くしだ。そんなくだらない事はさておき、馬鹿でかい期待を胸に(このメンツだから当然です!)初体験のリキッドルームに足を踏み入れると、会場内はクラブクアトロと同じような作りで(真ん中付近から段差ができていて冊が設けられている)、どのポジションでもステージが見やすくなっている会場の設計はとてもいい。しばらくしてから開演時間から遅れる事10分、ついに初体験となる大好きなピアノ弾きが登場して来ました。

 

小谷美紗子
ピアノとリズム隊によるトリオ編成でのライブ。3人の立ち配置がなんだか一風変わっている。ピアノとドラムがステージ前方で対面するように陣取り、ベースが中央奥に位置し皆が向かい合っている感じ。似たような配置構成は先ごろ解散を発表したデキシード・ザ・エモンズの同じ立位置でメンバーが観客の方を向いていたり、上原ひろみのドラムとベースが入れ替わった状態(ドラムが置くに引っ込んでいる)というのはあったけれど、ドラムが前面にいて、それも観客を横目で見るというのは今までに見た事がない。なんだかとても新鮮な並び。初っ端に演奏されたのは新譜のタイトル曲「catch」。続く2曲目には小谷ファンになるきっかけになった世紀の名曲「off you go」。今日のライブで最も聴きたかった楽曲だったのでテンションは天井に達する勢い。でしたがスタジオ音源ではギターやシンセなど音数が多く入っているのと、今日の演奏は若干リズムが遅めだったので多少もの足りなさは感じたけれどやっぱり抜群の名曲でした。鉄壁のリズム隊と10年以上も歌い続けているのでもはや貫禄すら漂わせている小谷嬢の歌/ピアノが織りなす音の一体感は、他が入り込む余地などこれっぽっちもないくらいに完成されていました。3つの音しか鳴ってないのに彼らを結んだ三角形の空間に埋め尽くされた音密度がもう尋常ではありません。そして演奏しながら笑いあってはいるけれど、馴れ合いなどは微塵も感じさせない程に研ぎすまされたスリリングな演奏。CD音源でももちろんそれは感じてはいましたが、肌で感じてみてここではっきりと実感しました。このトリオはやっぱり凄いわ!ドラムが叩き出す抜けの良い音がとてつもなく気持ちよく、そこにくどくならない程度に適度なうねりをあげるメロディアスでテクニカルなベースが絡みあう鉄壁のリズム隊はほんとナイスなコンビネーションを発揮していました(小谷日記によると実際にこの2人は相当仲がいいらしい)。このリズム隊の本業は100s(中村和義sバンド)ですが、RJFで(100sを)見た時は全く胸に響いてこなかったなあ。いっその事100sを辞めて、サポートではなく小谷美佐子バンド(もしくはバンド名を冠した新たなトリオバンドの)正式メンバーになればいいのになあと思ってしまう。それくらいこのトリオが鳴らす一体感のあるバンドサウンドは非常にマッチしておりました。とにかくこの日の選曲が個人的にはそれはもう堪らなかった。僕が好きな小谷ソングトップ10のほとんどを演奏してくれたのだから(それも好きではない曲は一曲も演奏しなかった!)。なんだかこちらの胸の内を見須かされているような気がして少し怖いぐらいに(思い過ごしなのは重々承知の助ですが)。「キャッチ」→「off you go」と続き、情熱的な「まだ赤い」→「who」人気の高い「いけどりの花」「blink of stars」「stil have us」。どれも大好きな曲ばかりでいつ休めばよいのかわからないくらいにテンションがあがりっぱなし。そして間にはさんだ2曲のカバー曲もこれまたシビレさせられた。小谷が大好きだと公言しているシンディールーパーの大ヒット曲「アンコンディショナルラブ」。出だしに間違えてやり直したのはが微笑ましかったけれど、オリジナルよりも良く感じたし、もう1曲はこれがなんとベートーベンの第一楽章「悲愴」。クラシックを聞けるなんて思ってもみなかったので僕も含めた観客達がどういう聞き方をすればよいのか戸惑っていたのだけれどそんな心配は全く無用でした。この難解な曲を素晴らしいバンドサウンドでアレンジを施した見事な演奏。この曲を選んだ理由というのが新譜リリースツアーで挑戦をテーマにしたコーナーを設けていて、自ら挑戦するという意味でもあり実際ライブでやってみたらなかなか好評だったため本日も演奏したとの事。グランドピアノではなくシンセだったのがクラシックを演奏するには音が弱い感じがしたけれど、テクニックは申し分なく(ピアノで音楽留学した経験があるのも頷ける)、リズム隊が繰り出すメリハリの利いた厚みのある土台の上にピアノが縦横無人にかけずり周っている。その複雑なアレンジがクラシックというよりもなんだかプログレッシブロックに聞こえた。この曲の演奏中、彼等が構成している三角形の音空間にピラミッド型の音像が形成されていく瞬間がこの目にはっきり見えました。鬩ぎ合る演奏バトルを感じる緊張感と物凄いエネルギー。凄いトリオだ。とうだうだ書いてみたけれどやっぱり印象に残っているのは小谷美紗子の声でした。線は細いけれど芯が通っている小谷嬢の声は周りのどんな音にも負けない意思の強さを持っていてそれが胸に突き刺さってくる。歌声は一種の武器だと思った。本当に素晴らしいライブだった。ただひとつ残念な事に、曲を演奏中に前列の群れから会場の休憩室に戻ろうとするお客(おそらくSalyuファン)が何人かいて、ライブを楽しんでいる観客達の間を申し訳ない素振りも見せず堂々と容赦無く突き進んでいた事に気分悪かった(僕は足を踏まれました)。興味がないのなら初めっから前方に陣取るなっていうの。僕も含め周りのお客さん達はかなり迷惑していたと思う。

 

Salyu
始まる直前になって急に人が増えだしてきました。小谷嬢の時は周囲のスペースにやや余裕があったのに。。やはりサリュウの人気は相当のようですね。元気一杯でSalyu登場。AP Bank Fesでも目撃したけれど、やはりライブハウスでこうやって間近で見るのとでは全然印象が違う。TVや雑誌で見ていたよりも痩せてて意外とかわいい。それに姿を現しただけでその場の空気が一気に明るくさせる太陽のような存在に僕の目には映りました。華があるオーラがある人とはこういう人物の事を指すのでしょうね。この日は今夏のロックフェスで一緒に回っているメンバーでの演奏だったようですが、この中には小林武Cはおらず少しだけ期待していたので残念。おそらくAPバンクフェスが終わって未だに抜け殻状態になっているのかもしれませんねw。MCもなくからっと明るい笑顔を振り撒きながらデビュー曲「valon 1」でライブスタート。さきほどの小谷トリオの物凄いライブの余韻がまだ残っていたのか自分の中での切替がすぐにはできていなかったのかはわからないけれど、特に何も感じないまま一曲が終わってしまいました。サリュウスイッチが入るにはもう2曲程聴かないとダメな感じ。MCが入り「風に乗る船」、「再生」と続き、ドラマティックな「landmark」が始まる頃にようやくエンジン全開。その圧倒的な歌唱力はやはり凄い。これほど力強くて儚くて美しい歌声は唯一無二でしょう。その生声を間近で聞ける事に幸せを感じました。バックのツワモノ達の演奏で彼女の歌をしっかりとサポート。熟練のタイトなリズムが身上のあらきゆうこのドラム、地味だけど的確なリズムを刻むサイドギターあらきゆうこの夫)とベース、弦を用いたりしながら奇天烈なフレーズを奏でるリードギター、特にこのくすんだディストーションギター音(小林武志の趣味趣向だと思われる)がなんとも気持ちいい。それら全ての楽器をぐいぐい引っ張っていくサリュウの圧倒的なボーカル。期待を裏切らないこの日の演奏を聞いて涙が出そうなくらいに非常に感動した。ちなみに9月6日リリース(フライング日は今日)の新曲「name」は、ネットでちらっと試聴した時には地味な印象しか得られなかったけれど、フルでしかも生で聞くのはやはり格別でした。地味という印象は変わらなかったけれど、すっと身体の中に染み込むような自然なメロディだなと感じた。正直選曲は納得できなかったけれど(彗星もPeatyもDialogueも無し)、最後の「to U」はやはり良かったし、アンコールにポップな「tower」を歌ってくれて満足。結局一時間弱でこの日のサリュウライブは終了。しつこいようだけれどその場の空気をパッと明るくさせてしまうのは天性の素質でしょうね。性格がいいに違いない。いや、性格が良くなければこんな雰囲気は決して出せないと思います(小谷美紗子もブログでそんなような事を書いていましたし)。ほんと太陽のような彼女の笑顔にとにかく癒されました。元気出た。

予想通りの大満足感。おそらく今まで見てきたライブの中で最も満足できたライブイベントだったと思います。小谷美紗子最高!SALYU最高!