Yesのライブ参戦レポート

感じた想いをそのままに参戦したライブをレポートしていきます。

フジファブリック HALL TOUR 2013 “VOYAGER” final at NHK Hall

急遽家庭の都合でチケットが一枚余っていると、友人Oから嬉しいお誘いが突然やって来たので、フジファブリックのレコ初ツアーファイナルに参戦してきた。場所はNHKホール、紅白の場所だ。座席は3階だったのだが、ステージとの距離感を感じず見晴らしも良く、着席して直ぐにホールコンサートの利点を開演前から実感。そういえば、3階に向かう踊り場で、アキバヲタクに遭遇。別に珍しい事ではないが、フジファンは基本的に皆お洒落な人々が多く(というかお洒落さんしかいない)、前記のヲタクの存在が非常に奇異に写った。しかし、アキバヲタクをも魅了する程、ファン層が拡大している事の裏付けでもある訳で、これは前向きに捉えていい事だと思う。余談が長くなってしまったので本題に戻そう。正直言うと自分はフジの新譜「Voyager」に耳を通していない。そもそもこのライブに参戦する予定がなかったし、去年のSLSでのパフォーマンスが個人的にイマイチだった事もあり、彼らに対する関心が若干失いつつあった。なんの情報も持たない状態で今の彼らのサウンドに接する、というある意味フラットな状態での参戦となった。

 

フジファブリック
開演時間になってもステージ上にメンバーの姿はない。どうしたのだろう?と観客がざわめき始めた矢先、ステージに向かって右手の方から突然パイプオルガンの調べが鳴り響いた。音の発信源はKey金澤氏。そう、このホールにはパイプオルガンというゴージャスな楽器が装備されていて、鍵盤奏者として弾かない訳にはいかない衝動に駆られたのだろう。気持ちいいくらいにひとしきりクラシカルなフレーズを弾き倒した後(突然の早引きパートで観客に笑いが起きていたのが未だによく分からないが)、ようやく他のメンバーが登場。サポートメンバーは、お馴染みの超絶ドラマーBOBOさんと、CHARAPUFFYのプロデュースで知られるギターの名越由紀夫氏。サポートギターはネット上でHintの伊東氏だと書き込みあったのだがそれはデマだったようだ。個々の楽曲に対する感想は割愛するし、中間のえらく退屈だった打ち込みインプロコーナーはとりあえず置いておくとしてw、レコ初ツアーとは言え、MUSIC以前の楽曲といえば、銀河/虹/夜明けのビートくらいで、三人体制になってからの楽曲が8割以上で構成されたセットリストから、新フジファブリックサウンドはこれなんだ!僕らはこの3人体制として堂々と勝負していきたいんだ!、という彼らの意思がより明確に表示されていた事が何よりの収穫だった。去年のSLSレポで書いた、ツインギターへの要望、山内氏のフロントマンとしての成長、これらについてはどうだったであろうかは、まず今回のツアーからサポートギタリストを帯同させた事で、自分が知ってるあのフジファブリックサウンドが少しでも再現出来ていた事が彼らライブの満足度を促進させていた(ただ、やはり山内氏が全編リードギターを担当して欲しいが、歌いながらはテクニック的に難しいのかもなあ)。そして、山内のフロントマン然度については、あれから約一年弱の間に何本も場数をこなした事で流石に客席にまで緊張具合が伝わる程の硬さはなくなっていたし、メインボーカルとして大分様にはなってきていたとは思う。ただ、もう少しカリスマ性を身につけて欲しい。特にMCや振る舞いについて。何か遠慮がちに見えるのは、まだまだ自信が足りないのかもしれない。そこら辺が今後の課題かもしれませんね。今日のライブは、総じてとても良いものだった。そういう印象にさせられたのは、アンコール前に演奏した初聴のミディアムバラードがあまりも良曲だった事が大きな要因かもしれない。3人体制になってから、佳曲はそれなりに生み出せることは証明していたけれども、キラーソングというかアンセムを作り出せるか出せないかが、今後の彼らの行く末を左右すると個人的には感じていた。その疑問に対する見事な回答をこの楽曲『Light Flight』で完璧に回答してみせた。それまで、山内氏のソングライティング能力に対して感じていた懐疑的な印象が、この楽曲のみによって一気に解消された。ここまでのクオリティを持った名曲が書けるのだから、この先のフジは何も心配いらない、そう言い切ってしまっても何も問題はない。ただ総じて思うのは、これから先どれほどの名曲名盤を生み出したとしても、志村時代との比較はこの先もずっとされ続けてしまうだろうし、ファン心理としては仕方ない事だとしても、それはあまりにも残酷で残念な事だろう。僕は今でも思う、やはり再始動する時にバンド名を変更すべきだったと。もしNew Orderがあのまま改名せずにJoy Divisionとして活動していたら、その後の世界的成功が出来ただろうか?とにかくLight Flightの様な名曲を生み出せる力を持っているバンドについて、過去との比較はせずに純粋にファンとして応援していこうと思う。