Yesのライブ参戦レポート

感じた想いをそのままに参戦したライブをレポートしていきます。

日本工学院ミュージックカレッジpresents SOUND JACK FESTIVAL 2013 at Yokohama Blitz

復活した赤い公園の今の彼女達のライブが見てみたい、10月で無くなってしまう横浜ブリッツにもう一度行っておきたい、こんな豪華なメンツのイベントに参戦しない訳にはいかない、この3つの要素が合わさった最適なイベントが開催されることを知り、嫁を連れて参戦してきた。開演20分前に会場に着くと、やけに年齢層の低い若人の群れが連なっていた。どうやら工学院の学生達のようだったが、一般客専用ゲートがない。スタッフに尋ねると、一般客は優先的に入れるとのこと。学生達が入場する列を遮断すると、直ぐに会場に入ることができた。中に入ると意外にも空いている、というかガラガラ。このメンツでこの入りなの?と心配になりながら、とりあえず少し高台になっている手すりがある絶景のポジションに陣取る。開演時間直前になってようやく、先ほど群れをなしていた学生達が一気になだれ込んできて満員御礼の状態になった。このイベントは、日本工学院主催のロックフェス(といっても3組だけだが)、スタッフも企画演出も全て学生さん達で作られたモノだと開演直後にアナウンスされた。PA卓エリアも確かに学生らしき面々しかいなかったのはやはりそのせいだったのか。

 

パスピエ
ポスト相対性理論として、ロッキンオン界隈や、そのアニメ声がヲタク達を魅了し始めている女性Vo含む5人組ロックバンド。KEYがこのバンドのリーダーであることは、センターに置かれたキーボードのポジショニングやMCで容易に想像できた。彼らの特徴は鍵盤から始まる楽曲、鍵盤主体の楽曲が主であること。そして彼らのセンスと演奏力がかなりのレベルを誇っている事。プログレの要素も含んだ複雑な曲構成、なんだけどそれを分かり易いポップサウンドに仕立てあげられるバンドとしての力量。前記のKeyは、音大卒であろう理論派丸出しのテクニックと佇まいを醸し出しているし(調べたら東京藝大卒だった)、正確無比なリズムセッションと効果的な畝ねりがセンスの良さを感じさせるテクニカルなベース、地味だけど乱れやミスがほとんど見られないイケメンギター&ドラム。サウンドメイキングに関しては非の打ち所のないクオリティ。ただ致命的に駄目な事がひとつ、それは、アニメ声のボーカルの歌唱力の無さ。歌がとにかく下手過ぎる。声質が良ければまだいいが、抑揚もないチープなプラスチックみたいなひらべったい声。それが味となればいいのだが、高域になると必ず音程が外れる、別の意味での安定度を誇っているし、これで美少女であればいいのだが、ギャル曽根を少し可愛くしたようなルックス。サウンドメイキングがここまでハイレベルなのに、それをボーカルが完全に台無しにしまっている。悪いことは言わない。今すぐ別の女性ボーカルを連れてくるべきだ。このハイセンスでハイレベルなサウンドを生み出せるバンドが、この程度のバンドで収まってしまう事が非常に勿体無い。

 

・SEBASTIAN X
ターレスの4人組バンド。デビュー当時から何気に好きで全音源を取り揃えていたのだが、ライブを目撃するのはこの日が初めて。演奏が始まると僕らの後ろにいた学生達がこう呟いていた、「なんだか歌のお姉さんみたいだな」、そう正にそのイメージ通りの身振り手振りを使った大きなアクションを交えながら歌う様はまるでミュージカル!テンション高めのボーカルが、メンバーもとい観客達を徐々に徐々に自分達のペースへと導いていく、引き込んでいく。それを可能にする経験豊富なステージングに完全に魅了。BF5直径のピアノ meets パンクロックといえばそれだけで済んでしまうが、これまでBF5に影響を受けた同様のバンドが数多に現れては消えていった理由のひとつに、結局+αを生み出せなかった事であり(そういうバンドをずっと追っていた時期があったな)、そういう意味では彼らの音楽を既に一聴して”That's Sebasian X's sound!”と判別できるオリジナリティを持ち得ている。サウンドの要として、乱暴だけど確かな技術に裏打ちされたニューオリンズな火の玉早弾きkeyである事は間違いないのだが、ノイジーでパンキッシュなピンク色のヘアカラーが特徴的なベース、雑なプレイが誰んジェシーそっくりなドラム、そして彼らをバックにバレエを踊りながらヘッドバンキングをしつつストーリーテラーを演じている漫画のヒロイン的要素を併せ持つVo.永原嬢のカリスマ性、この4人が奏でる音楽が引き起こす多幸感と言ったらもう、この場の観客達はそれを重々思い知らされたに違いないだろう。ちなみに来月リリースされる新譜から演奏された一曲『DNA』がとんでもないスケール感を持った楽曲が頗る心に響いた。聴いている内に自然と涙が溢れてくる温もりを感じさせる優しいんだけど力強いクイーンを彷彿とさせる名曲。それにしてもこのバンド、新譜を発売する度に楽曲の質が格段に良くなる傾向にある。天井知らずというか、この先どうなってしまうのか非常に興味深い。最後に気になった事をひとつ、デビュー当時とは見違える程、女子プロレスラーみたいに随分ゴツくなってしまったKey女史、一体どうしてしまったんだろうか?

 

赤い公園
SMAPの新曲「JOY」への楽曲提供により巷で話題沸騰中の女性4人組ポストロックバンド。G.津野嬢が倒れてから(予想通り鬱病だった模様)、参戦予定だった去年の夏のモーモーとのジョイントライブをキャンセルしてから(今思えばSAKANAMON見ておけばよかった)、復活したら必ずライブに即参戦する事を誓っていたので、この日がどれだけ待ち遠しかった事か。復活してから彼女達の状況は良い方向に様変わりしていて、正確にはあのSMAPに楽曲提供してからマスコミへの露出の頻度がこちらの想像を上回る状況、EMI ROCKSで彼女達のパフォーマンスの衝撃からこりゃあ人気が出るだろうとは予想していたけれど、まさかゴールデンの歌番組にまでに出演する事になるとはね。という事で、知名度が急上昇中での彼女達のライブパフォーマンスがどうなっているのか楽しみにしていた。お馴染みのお揃いの白衣装で登場。まだ20歳そこそこなのにやはり演奏が巧い、基本楽器はスリーピースなのに音が太い、ブレーク・アレンジにセンスの良さを感じる、パフォーマンスに関しては全く無問題。やっぱり津野さんのギターカッティングセンスは個人的に大好物。ピートタウンゼントの次に好きなカッティングギタリストかもしれない。ただ選曲はというと、、、そこかしこで流れている『今更』を筆頭に、黒盤白盤の代表曲を演奏したのだが、盛り上がりにかける観客(というか自分も含めてモッシュ派ではないのでそれを無理強いするMCっぷりにまだまだ経験値の無さを感じた)に向かって、盛り上がる楽曲を用意した、と演奏したのがシングルB面の「娘」だったり、そもそも白盤黒盤の曲の繋げ方に違和感があったり(MCで上手く繋げられればいいのだが、そのテクニックがまだ彼女達にはない)、アンコール前のラスト曲に持ってきたのが現在入手不可な激レアインディーズ盤にしか入っていない『ふやける』だったり、赤い公園のコアなファンでしか知らない楽曲をこういう数曲しか演奏できないライブイベントで何故盛り込むのか?加えてタイアップ付で毎日のようにTVで耳にする名バラードの誉れ声高い『交信』をリリース後のこのタイミングで演奏しないなど、セットリストに関してはこの場の観客を置き去りにする超自己中心的な構成で非常に残念。乗らない観客を半ば説教的に煽るようではまだまだですわ。楽曲演奏は問題ないので、まずは場にあったセットリストの構成力とMCの上達が彼女達の課題ですね。大好きなバンドだからどうしても期待値が高くなってしまうのは致し方ないけど、もうすぐリリース予定のレコ発ツアーには参戦しようと思う。その時までに改善されていれば良いのですが。。。

 

それにしてもこの濃密で見ごたえのある3組のライブが2000円で見れるなんてどんだけコスパ高なイベントだったんだろうか。日本工学院に感謝ですな。