Yesのライブ参戦レポート

感じた想いをそのままに参戦したライブをレポートしていきます。

Lili Limit size L live at Shibuya O-east

Lili limitの解散が突然発表された

 

ポストサカナクションの最有力候補で、今後の日本のロック界を背負って立つポテンシャルを兼ね備えたロックバンドだと密かに期待していたにもかかわらず、突然の解散発表である。いつかはライブを観に行きたいとは思っていたが、関東でのラストライブであるこの日を逃したらもう2度と生で彼らのライブを目撃できなくなる、背水の陣的な状況に突如置かれたのでこれはもうライブチケットを取るしかない。ある意味選択肢の無い中での必然的なライブ参戦となった(BTW本当の解散ライブは地元山口県で行われる予定)。

 

ライブ会場はTSUTAYA on air EAST。ここに来るのは初めてかもしれない。18時に会社を出て会場に到着した頃にちょうど自分の整理番号が呼ばれていた。なんとタイミングが良いことか!今日はなんだか良いライブが観れる予感がする。
入場して年齢的にサイドのポジションに陣取り身体を休めながらライブを楽しむ年齢になってきてしまっているので、当然のように左前方フェンス横に陣取る。しかし開演間近になっても自分の周りにはまだ十分なスペースがある。都内最後のライブなのにチケットが捌ききれなかったか?と少し心配にはなったが、それなりに埋まってきているようだ。そしてメンバーが登場してきた。

 

・Lili Limit
前半から代表曲を立て続けに披露。いやあやっぱり楽曲が良い。もうアンセムだらけだ。耳にしたら直ぐに覚えられるほどのキャッチーなメロディー、キラキラしてるけれどオルタネイティブファン/インディーロックファンにも受け入れられつつエレクトロニカの要素も取り込み、またそれを独自のポップソングとして上手に消化している見事なアレンジ力、無駄のないタイトでエネルギッシュなサウンドメイキング、これらを見せ付けられて目前の彼らがもうすぐ本当に解散してしまうバンドなのか?と一瞬疑ってしまう程の可能性をまだまだ感じさせてくれていたのが前半途中まで、、、
後半の前にとにかく女史2名について語らせてほしい。ルックスがイマサンな男性陣を視覚的にカバーしてる女史メンバー達のアイコニックな存在感はやはり見逃せない。というよりも、彼女たちの存在がこのバンドの大きな魅力のひとつだと個人的には思っている。二人それぞれが正反対な印象なんだけれども、しっかりとバンドサウンドの屋台骨を支えているのは間違いなく彼女達であるのだ。美形なのにリズミカルなフレージングをさらっと弾きこなすその出で立ちがとにかく様になっている男前なBass黒瀬女史(こう感じるのは個人的にベーシストの女史に滅法弱いというのも関係があるのかもしれないが。たまたま陣取った場所がベースの真ん前というのも個人的にナイスポジションだった)。その一方で、アイドル並みにキュートなルックスがまず目に止まるが、まるで打ち込みかのような正確無比なリズムでぴょんぴょんと跳ねながらとにかく楽しそうに演奏する様が観ているだけで多幸感を感じさせてくれ、またバンド内でもっとも安定感と安心感を感じさせてくれるKey清水女史。この素敵な女史2名の存在感がこのバンドの魅力をグンと引き上げているのは彼らのパフォーマンスをみていてまず気づいた点である。
そしてさあ後半戦。よりディープでダークな打ち込みをメインとした無機質なサウンドの楽曲で畳み掛ける。ただこの後半戦で儚くも冒頭のサカナクションとの致命的な差を感じてしまうことになった。エレクトロな楽曲がとにかく良くない、乗れない踊れない歌えないのだ。更に、ボーカル牧野氏のMCがとにかく面白くない。客の煽りも常にナルシスチック一辺倒で、ウィットに富んだ気の利いたコメントもまったく無い。話が上手くないのならベシャリが上手な別のメンバーにMCを託せば良いのものを、Voが作ったバンドだからか、もうウンザリするくらい気取った言葉の羅列にこちらの気持ちを萎えさせてくれるのには十分過ぎるくらいだった。

ライブを観に来てくれている観客を楽しませるには、ただ単に楽曲を演奏すれば良いだけという考えはもう通用しない、MCが面白くなければもうリスナーはついてこないと、我が敬愛するThe Collectorsの加藤/古市両名が常日頃からPodcastを通して世間に教えてくれているが、やはりというか残念ながらその非常に大事なポイントに気付けないようなバンドはやはりある程度のキャパを超えられないのは致し方無いのかなということをまざまざと感じてしまった。更に、こんなにもキラーソングを数多く産み出してきたにも関わらず、まったく盛り上がりに欠ける流れの悪い独り善がりなセットリストも致命的に残念だった。

本編のラストに知名度的にもイマイチな楽曲を持ってきて観客に合唱を求めるも、自分含めてほとんどの人達が歌えきれず、微妙な雰囲気の中で突然これが最後の曲だと言い始める。正直こちらは「ぽかーん」ですよ。分かってはいるけれども、アンコールありきのその流れがあからさま過ぎたのも、個人的にはかなりNG。アンコールの最後に名曲【Festa】を演ってくれたからまだ成り立ったのかもしれないが、1回目のアンコールでは結局まともなMCも無いまま演目を終わらせてバックヤードに下がってしまったもんだから、そりゃ観客は再アンコールを要求するでしょうよ。このなんだかやらされてる感のある流れも正直グダグタでこっちが恥ずかしく感じてしまうほどの雰囲気だった。そんな状態で再々登場して2回目のアンコールが始まり、そこでようやくメンバー達が話しらしい話をし始めた。

まずこのライブで観客の誰もが期待していたことがある。先日突如HP上で衝撃の解散宣言が発表され、ボーカル牧野氏のコメントとして解散理由を語るためにはもう少し時間がくださいという内容がTwitter上でも書かれていた。そしてその理由が語られる時場所は、東京最後のこのライブ会場であるだろうと自分含めたほとんどの観客が間違いなくそう思っていた。雑談のようなどうでもいい会話が繰り広げられている時、しびれを切らしたある観客の1人が突然こう叫んだ。

 

「解散理由は?」

一瞬黙り込むメンバー。少し間を置いて牧野氏がその事についてついに話し始める。そしてその結果がこうだった。

 

「解散ライブで解散理由を話す事自体、なんだか非常にカッコ悪い事だと思うんです。だからここでは話しません」。

 

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?!である。

これが吉本新喜劇だったら観客とメンバー全員が間違いなくズッコケるような展開だ。結局言わないんかい!!!

 

物凄く後味が悪い状態で最後の楽曲に選んだのが、ほとんどライブでも演ったことがないという初期のレア曲であった。

最後に彼らの代表曲を皆で大合唱して終わりたかったというこちらの願いを無視するかのような独りよがりのセットリストにもう心底失望した。ただこの不器用さ/独り善がり感がファン層を増やせなかった最も大きな原因だったんだろうと妙に納得できたのも今日観に来て良かったと思った。


とにかく彼らが残した楽曲群が本当に本当に素晴らしかっただけに、客観的に俯瞰的にバンドの事を見ることが出来る人間が近くにいれば、今よりもう何倍も飛躍できたバンドだっただけに、ここで終わってしまうのはただただ残念で他ならない。

ロックバンドはやはり儚いですね。